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【第15回名作劇場 読書会開催レポート ~『獄門島』横溝正史 ~】

課題図書:『獄門島』横溝正史


【第15回名作劇場 読書会開催レポート 】

2018年8月25日(土) 17時00分~ @ 渋谷レンタルスペース

『獄門島』横溝正史

1947年~1948年、44~45歳のときの作品。 ― 終戦直後の引き上げ船で死んだ男・鬼頭千万太。彼は戦友・金田一耕助に「三人の妹たちが殺される…代わりに獄門島へ行ってくれ…」という臨終の言葉を残していた。彼の遺書を預かった金田一は、その戦友に代わって獄門島と呼ばれる島を訪れるが、やがて、俳句の言葉に見立てた奇怪な殺人事件が起こってしまう…―

※※ 以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。 ※※

(角川文庫(改版42版)から引用)

8月は、横溝正史の『獄門島』を課題図書に、読書会を開催しました。

参加者全員、孫の金田一少年の方には馴染みがありましたが、横溝正史作品は初読みでした。

夏らしい怖い本&主催者が読んで面白かった、という理由で選んだのですが…

読書会では、みなさんの辛口批評とつっこみが飛び交いました(笑)。

主催者的には、横溝イイネ!談義を交わす予定だったのですが…結果楽しかったのでまぁいいか!(笑)

◆◆◆ 読書会で出た意見 ◆◆◆

・みんなが読める大衆小説 ・暇つぶしに最適。「面白かった」で終わる小説 ・現代でいうラノベ ・場面設定、セリフ回しがうまい。脚本みたい。 ・映像向き ・横溝が使う擬音が面白い。 ・もっと怖いイメージだった。人がたくさん死ぬけど重くない。 ・嫌な人、悪人が出てこない。 ・再読すると伏線ひろいが楽しめる。 ・呼び方が不統一なのが、感情を感じて面白い。 ・BGMは金田一少年のドラマテーマソング ・名探偵あるあるがいっぱい。 ・火サスの原型。2時間ドラマにぴったり。 ・動機については…「個」より「家」の時代だから…。 ・本格ミステリは、動機や心情よりトリック重視なので、これで良い。

◆◆◆ これを言ったらお終いだけど… ◆◆◆ ・遺書を書けばいいじゃない ・推理はしたけど、千万太の願いを果たしていない金田一 ・せめて月代は救えたよね… ・動機が浅い…のに、成し遂げちゃう犯人のモチベーション ・和尚さん背負えるかな?目の前なのに見えていない金田一 ・三姉妹の描かれなさ ・鵜飼くんは空気

◆◆◆ お気に入り登場人物 ◆◆◆

みなさんに好きな登場人物を聞いたところ、次のような結果になりました。

1位 金田一耕助 なんといっても、金田一の金田一による金田一のためのシリーズですから!

2位 清水巡査 / 鬼頭儀兵衛 清水さんは、愛すべきポンコツっぷりが人気でした。必要です、こういう人。 儀兵衛さんは、終盤までは悪役かと思いきや、分析力のある常識人でした。その意外性にみなさん惹かれた様子。

3位 鬼頭早苗 凛とした強さが作品の救いでした。早苗さんは、寅さんでいうマドンナ的存在!

◆◆◆ 参加者イチオシの一文 ◆◆◆

ところがそこに事件が起こったのである!(8頁)

 ― ベタな感じがいいです。感嘆符がいいです。気持ちがわくわくと盛り上がります。しかも、その勢いのまま楽しく読み進められるところも素晴らしいです。

大きな肩が波打って、くちびるのはしがものすさまじく痙攣した。と、思うとつぎの瞬間、和尚は大きな両手をひらいて、ひしとばかり顔をおおうと、二、三歩うしろへよろめくようにあとずさりした。(95頁)

 ― きちがいの意味が、和尚さん的には季違いなのに、金田一が気違いと誤解している事を知った和尚さんの様子が見事に描かれているから。

まったくそのときの早苗の態度振る舞いには討ち死にした一族をむかえるサムライのけなげさがあった。いまや彼女は、繊手をもって落日の孤城をささえているのである。(148頁)

 ― 厳しい状況でも屈しない早苗さんの凛々しさ、けなげさがよく表れている描写だと思います。

「バカ、バカ、清水さんのバカ」(162頁)

 ― 丁寧にキレているところが素晴らしい。

なにもかも戦争のためだからしかたがない。(187頁)

 ― 過ぎたことに対するあきらめや無力感など。戦争がこの話の大きな前提になっていて、作者もこの戦争で大きな影響を受けて、そういう前提の話にどうしてもなってしまうのだろうなと思った。

雪枝をかかえて気ちがいは、闇のなかを走り走り走り走る。しぶく雨、吹きすさむ風、獄門島は真っ暗だ。(215頁)

 ― 不気味な感じがよく出ているし、映像的でかっこいい。全体を通して、雨が印象的だった。

まえにもいったとおり、獄門島の全部落は、島の西側にかたまっている。(237頁)

 ― 3人目の死が予告された後の章の出だし。語り口、舞台設定の巧さが凝縮された一文と思いました。

「気が……気が、……気がちがっている!」

耕助はゲタゲタととめどもなくわらい出した。(295頁)

 ― 「気」と「季」のカラクリに気づいた金田一の様子・気持ちが全て分かる!あと、物語のスピード感!!

封建的な、あまりに封建的な(341頁)

 ― この事件の動機を一言で表している一文かと思いました。時代性を感じる印象的な表現。

大きく見開かれた眼は、生命なきガラス玉のごとく、光をうしなってぼんやりにごっていた。(348頁)

 ― 和尚さんの最期!!

「島で生まれたものは島で死ぬ。それがさだめられた掟なのです。でも…ありがとうございました。もうこれきりお眼にかかりません」(351頁)

 ― 早苗さんのお別れの言葉。獄門島の不気味さとさびしさが表れていると思います。

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今回、過去最多10名での開催となりました。 ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました! ここ数回、嬉しいことに満席が続いたので定員を増やしたのですが、ひとりひとりの意見を聞くには、やはり8名までがいいかも?

いずれにせよ、もう少しうまく場を回せるようになりたいものです…

さて、9月の読書会ですが、一旦お休みとさせていただきます。 10月の開催予定は、決まり次第ホームページでご案内いたしますので、またよろしくお願いします~

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