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【第13回 名作劇場読書会 開催レポート 】

読書会テーマ:古典・近代文学~自由紹介型~

【第13回 名作劇場読書会 開催レポート】


2018年6月23日(土)10時15分~@ 神保町ブックセンター内カフェ 6月は、当読書会初めての自由紹介形式で、読書会を開催いたしました。

「国内外で1955年頃までに発表された作品」を縛りとして、お好きな作品を紹介いただきました。

今回、初の紹介型に加えて、8名中6名が初参加という新鮮な回になりました。主催者のわたしは、実は始まるまでそわそわしていたのですが、近代文学好きな方、この機会に読んでくださった方、新しい人と本の出会いがたくさんあって、みなさん のおかげで素敵な時間を過ごすことができました。

参加くださった皆さま、ありがとうございました!



◆◆◆ 紹介された作品たち ◆◆◆


他の読書会だと浮いてしまうこともある近代文学を、堂々と紹介し合うことができました(笑) 近代文学縛りだともしかしたら作品が被るかも?なんていう予想は外れ、作者すら被らず!


『蘭学事始』菊池寛 オランダ医学書『ターヘル・アナトミア』の翻訳という難事業に挑んだ杉田玄白と前野良沢。江戸中期、辞書すらない環境下で、どのように翻訳をしていったのか。ふたりの対比を交えながら、『解体新書』の出版にいたるまでの苦心が描かれる。


『風立ちぬ』『美しい村』堀辰雄 風のように去ってゆく時の流れの裡に、人間の実体を捉えた『風立ちぬ』は、生きることよりは死ぬことの意味を問い、同時に死を越えて生きることの意味をも問う。 バッハの遁走曲(フーガ)に思いついたという『美しい村』は、軽井沢でひとり暮しをしながら物語を構想中の若い小説家の見聞と、彼が出会った少女の面影を、音楽的に構成した傑作。


『一千一秒物語』稲垣足穂 人、星、月が繰り広げるショートショート。「私が折にふれてつづってきたのは、すべてこの作品の解説にほかならない」と自ら語ったほど、足穂の持つ宇宙的感性が凝縮された作品。


『思ひ出-抒情小曲集』北原白秋 白秋が、郷里の福岡県柳川における幼年時代を追憶した抒情詩集。処女詩集「邪宗門」の2年後に発表され、白秋の存在を詩壇に知らしめた作品。


『英国諜報員アシェンデン』サマセット・モーム 時はロシア革命と第一次大戦の最中。英国のスパイであるアシェンデンは、中立国スイスを拠点にヨーロッパ各国を渡り歩いている。一癖も二癖もある諜報員や工作員と接触しつつアシェンデンが目撃した、愛と裏切りと革命の日々。そしてその果てにある人間の真実。諜報員として活躍したモームによるスパイ小説の先駆にして金字塔。


『オペラ座の怪人』ガストン・ルルー 夜ごと華麗な舞台が繰り広げられるオペラ座。だが、その地下では全く別のドラマが進行していた。幽霊騒ぎを端緒に、続発する奇怪な出来事。恋い慕う歌姫を追って事件に巻き込まれたシャニイ子爵の運命は?オペラ座の奈落の闇にひそむ幽霊とは何者なのか? 


『水仙』太宰治 小説家の「僕」の生家と古くから付き合いがある、身分も財力も格上の草田家。ある出来事により恥辱を受けたと感じた「僕」は草田家との交流をやめていたが、あるとき突然、草田惣兵衛が訊ねてくる。妻の静子が「あたしは天才だ」と言って家出をしたというのだ―。


『華氏451度』レイ・ブラッドベリ 本が忌むべき禁制品となった未来。発見された書物は、昇火士(ファイアマン)によって焼却されていた。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ昇火士のひとりだったが、ある晩、風変わりな少女と出会ってから、彼の人生は劇的に変わってゆき…。現代文明を鋭く風刺したディストピア小説の名作。


◆◆◆ 参加者イチオシの一文 ◆◆◆


他の人が読んでいない作品の一文だけを紹介するのは難しいかなとは思いつつ、せっかくなので、課題本回と同様に、みなさんの「イチオシの一文」を紹介いただきました。 (じっくりと理由と伺えず、最後は駆け足になってしまいすみませんでした…) みなさんの紹介を聞いて一文を読んだら、また読みたい本が増えてしまいました~



「おれたちは今日歩きはじめる。そして世界を見て歩く。世界がどんなふうに歩きまわり、話すのかを見る。どんな素顔をしているのかを見てやる。― ここからはじめるんだ。」


 ―『華氏451度』レイ・ブラッドベリ


カエレナイノデス。 ワタシ、アヤマチシタ。


 ―『水仙』太宰治



すべての偉大な音楽家、すべての偉大な芸術家が少なくとも生涯に一度は、音楽の天使の訪問を受けるものだ、と主張した。


 ―『オペラ座の怪人』ガストン・ルルー



アシェンデンの口癖は、決して退屈しない、だった。


―『英国諜報員アシェンデン』サマセット・モーム



汽車が消ゆる… ほつと息をして 釣鐘草が汗をたらし、――


―「汽車のにほひ」(『思ひ出-抒情小曲集』より)北原白秋



「今晩もぶら下っていやがる」 石をぶつけるとカチン! 「あ痛 待て!―」 お月様は地に飛び下りて追っかけてきた ぼくは逃げた 垣を越え 花畠を横切り小川をとび一生懸命に逃げた


―『一千一秒物語』稲垣足穂



「おれは、おれの人生のまわりの明るさなんぞ、たったこれ許りだと思っているが、本当はおれの小屋の明かりと同様に、おれの思っているよりかもっと沢山あるのだ。そうしてそいつ達がおれの意識なんぞ意識しないで、こうやっておれを生かして置いてくれているのかも知れないのだ…」


 ―『風立ちぬ』堀辰雄



開巻第一のページから、ただ茫洋として、艫舵なき船の大洋に乗りいだせしがごとく、どこから手の付けようもなく、あきれにあきれているほかはなかった。


―『蘭学事始』菊池寛

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自由紹介型、個人的にとても楽しかったので、またやりたいなぁと思いました。 紹介された本から派生するみなさんのお話を聞くのがとても楽しくて、あっという間の時間でした。

7月は、今回の読書会で話題に出た、志賀直哉の短編2作品『城の崎にて』と『小僧の神様』を課題図書に、読書会を開催いたします。 文豪たちから絶賛され、小説の神様とも称される志賀直哉。「気になっているけど読んでいない」という声が多かったので、早速、課題図書にさせていただきました。

ご興味のある方、どうぞお気軽にご参加ください~



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