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【第5回名作劇場読書会レポート ~『門』夏目漱石 ~ 】

『門』夏目漱石

【第5回名作劇場レポート】

2017年10月6日(金)19時30分〜 @ 銀座珈琲 数寄屋橋店 〜『門』夏目漱石 〜 1910年(明治43年)朝日新聞に掲載(43歳)。 ー親友の安井を裏切り、その妻であった御米と結ばれた宗助は、罪の重荷にひしがれながら背をかがめるようにひっそりと生きている。思いがけず安井の消息を耳にした宗助は、心を乱し、救いを求めて禅寺の門をくぐるのだがー 女性陣は、宗助にいらいらいらいらしてしまいましたが、風景描写、心理描写、言葉の選択はさすがの漱石先生。じっくり味わいたくなる美しい文章がたくさんありました。 会の冒頭、作品への印象が違ったのが意外でしたね。「暗い!」しか出ないかなと思っていました。 個人的には、「坂井家に来たのが安井違いだったら」が面白かったです。まったく別人の安井なのに、勝手に怯えてお寺に行っちゃう宗助。らしいな、と。 自らの「門」を前にしたとき、みなさんはどうするでしょう。 門を通る人。通らないですむ人。そもそもたどり着けない人。門の下で日が暮れるのを待つべき人。 自分はどうかと考えたとき、あれ、宗助のことをそんなに悪くは言えないかも、と思ったり。苦手なものはどうしたって苦手だし、怖いものは怖い、不安は消えない、嫌なことは出来ればやりたくない。誰しもそんなに強くなれないよなぁと。宗助のことを散々に言いましたが、今になって共感してしまいました。 ♢♢ 名作劇場的キーワード ♢♢ ・夫婦 ・ふたりぼっち ・罪の意識 ・言い訳 ・しょうがない しかたがない 無理ね ・前半は調味料。我慢すべし。 ・電車広告をじっくり読めて満足な宗助 ・火事ですべて焼けました (屏風は除く) ・「妹」なんて言っちゃうから… ・崖下の宗助。 崖上の坂井。 ・みんな大好き坂井さん ・冒険者 ・季節の移り変わり ・晩秋 冬 ・曇天 ・禅 ・門 ・春を待つお米。冬を恐れる宗助。そしてまた振り出しへ。 ♢♢ 参加者イチオシの一文 ♢♢ *薄い霜が降りて、裏の芭蕉を見事に摧いた。朝は崖上の家主の庭の方で、鵯が鋭どい声を立てた。夕方には表を急ぐ豆腐屋の喇叭に交って、円明寺の木魚の音が聞えた。日は益短かくなった。(新潮文庫 86〜87頁) *外に向って生長する余地を見出し得なかった二人は、内に向って深く延び始めたのである。彼等の生活は広さを失なうと同時に、深さを増して来た。(新潮文庫 186頁)  *ひっきょうずるに、彼らの信仰は、神を得なかったため、仏に逢わなかったため、互いを目標として働いた。互に抱き合って、丸い円を描き始めた。(角川文庫 187頁) *その時計は最初はいくつも続けざまに打った。それが過ぎると、びんとただ一つ鳴った。その濁った音が彗星の尾のように、ぼうと宗助の耳たぶにしばらく響いていた。 (中略) 四時、五時、六時はまるで知らなかった。ただ世の中がふくれた。 (中略) 七時過ぎに彼ははっとして、この夢からさめた。お米がいつもの通り微笑して枕元にかがんでいた。さえた日は黒い世の中をとくにどこかへ追いやっていた。(角川文庫 198頁) ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 敢えて?選ばれなかったですが、やはりこちらも忘れてはいけませんね。 *彼は後を顧みた。そうしてとうていまた元の路へ引き返す勇気をもたなかった。彼は前をながめた。前には堅固な扉がいつまでも展望をさえぎっていた。彼は門を通る人ではなかった。また門を通らないで済む人でもなかった。要するに、彼は門の下に立ちすくんで、日の暮れるのを待つべき不幸な人であった。(角川文庫 225頁)

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