【第3回名作劇場レポート ~『春琴抄』谷崎潤一郎 ~ 】
『春琴抄』谷崎潤一郎
1933年(昭和8年)発表。
―盲目の三味線師匠春琴に仕える佐助の愛と献身。単なる被虐趣味をつきぬけて、思考と官能が融合した美の陶酔の世界をくりひろげる。―
開催日:2017年7月28日(金)
谷崎入門編。 さすが大谷崎、文章や言葉の美しさはもちろんですが、突っ込み所もたくさんあって、盛り上がらせてくれました。 男女で意見が違ったのも面白かったですね~ そして、佐助が全て仕組んでいた説も出ましたが、ここはやはりふたりの愛(と表してしまうのは陳腐ですが…)を信じたいですね。
ふたりっきりの世界できっとどこまでも幸せだったことでしょう。
♢♢ 参加者イチオシの一文 ♢♢
*余人はともかくお前にだけはこの顔を見られねばならぬと勝気な春琴も意地が挫けたかついぞないことに涙を流し繃帯の上からしきりに
両眼を押し拭えば佐助も諳然として云うべき言葉なく共に嗚咽するばかりであったがようござります、必ずお顔を見ぬように致します
御安心なさりませ (新潮文庫 p.78)
*お師匠様私はめしいになりました。もう一生涯お顔を見ることはござりませぬと彼女の前に額ずいて云った。佐助、それはほんとうか、と
春琴は一語を発し長い間黙念と沈思していた佐助は此の世に生れてから後にも先にも此の沈黙の数分間程楽しい時を生きたことがなかった (新潮文庫 p.79)
*按ずるに視覚を失った相愛の男女が触覚の世界を楽しむ程度は到底われ等の想像を許さぬものがあろう (新潮文庫 p.85)